秋ヶ瀬公園観察会報告  

        
          開催日      2024年 11月 03(日・祝日)  

       集合場所   秋ヶ瀬公園三ツ池駐車場

       観察地    秋ヶ瀬公園     
   

       参加者    38名 (1日会員12名含む) 
 
       実施時刻   9:30~15:00

       鑑定人    福島隆一、栗原晴夫、近藤芳明、大舘一夫、板垣ひより   

       世話人    大舘一夫、岡田久枝、橋本啓一、葛西俊明、福島隆一、
             葛西俊明、大舘くみ

       報告     大館一夫
   
       撮影     大舘くみ、山本心、河野茂樹

         

        
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      受付開始                    副会長挨拶
              
      
       きのこ汁を堪能                きのこ汁      

      
      同定会場の様子(1)             同定会場の様子(2)     
        


キノコ観察会報告

 夏の酷暑が10月になっても治まらず、長引く残暑が平地林での秋のきのこの発生を妨げていたようですが、11月に入ってようやく気温が下がり始め、きのこ発生のもう一つの条件の雨も程よく降り始め、この日11月3日は絶好の晩秋のきのこ日和と期待を持って臨みました。期待にたがわずといいたいところですが、残念ながらこの日のきのこの発生は期待通りとは言い難い結果でした。これまで毎年出合えていた晩秋のきのこムラサキシメジ、ヌメリスギタケには今年も会えませんでした。ただ、ヒラタケとハタケシメジとの再会には皆さん満足されていたようです。例年出合える種と出会えない分他に目が向いたためか、これまであまり見られなかった種に少なからず出合えたようで、同定会に並んだきのこは45種になり、鑑定人のみなさんをが大いに悩ますことになりました。

朝9時を過ぎる頃、集合場所のみつ池駐車場付近には多くの会員の皆さんが参集され、期待の高まりを感じさせられました。副会長の大舘の挨拶の後、事務局の栗原さんから諸注意と連絡事項があり、いよいよきのこ観察への出発となりました。  

長く続いたコロナ禍のためお休みになっていた究極のきのこ汁が復活しました。公園での火の取り扱い規定が変わり、煮炊きのできる場所が特定されたため、昼食と同定会場がこれまでのみつ池駐車場からやや離れたバーベキュー広場に変わりました。初めての地で少々不安もありましたが、よく整備された広場で気持ちよく進行することができましたきのこ汁は、福島会長が前日から煮炊きして用意していただいたもので、豊富な具材を手の込んだ出汁で煮込んだ、まさに“究極のきのこ汁”の名をそのままに、きのこの美味しさを堪能することができました(感謝)。尚、“福島会長ご自身に披露いただいた究極のきのこ汁”の製作過程を文末に掲載いたしました。

 同定会に出品されたきのこは50種余りあり、なかでヒラタケの大収穫には皆さんの歓声が上がりました。また、他の地ではあまり見られない秋ヶ瀬公園特有の種のフルイカワラタケ、オオマンネンタケ、フクロキクラゲなどにも再会できました。最近多くの公園で見られる旧ツエタケ属のきのこが2種ありましたが、大舘が持ち帰り顕微鏡観察した結果、ツエタケとマルミノツエタケと同定いたしました。子嚢菌のきのこが4種ほど出ましたが、これは専門家である板垣さんが同定し、このうち2種はオオゴムタケとクラガタノボリリュウタケと、他の2種はいずれもビョウタケ科で属名をHymenoscyphus及び Phaeohelotiumと同定され、種名は今後の検討課題にするとのことでした。出品されたきのこのうち45種が同定され、最後に福島会長による本日観察できたきのこについての解説がありました。今年最後の観察会も楽しく充実した集いとなりました。(文責:大舘)

    
 

私流キノコ汁の作り方

112日の朝から作業

  5ℓのステンレスボールに水を入れ昆布の水出しから始めます。

  15ℓ寸胴釜で業務用かつお節と食べる炒り子を入れ出汁を作ります。

  更に鶏ガラを入れ弱火で長時間煮込み、ダシを取ります。

  ナス、タマネギ、ニンジンをカットして10ℓの大鍋に入れサラダ油で炒めます。

  マッシュルーム、シイタケ、エノキタケ、マイタケ、エリンギ、ブナシメジ等を入れ炒める

  ①の昆布のだし汁を入れ、みりん、醤油、日本酒、ニンベンのつゆの素などで味付けをし、10分ほど煮込みます。

  ②、③のだし汁に味付けをした野菜・きのこ汁を合わせ、35ℓの寸胴釜で煮込みます。

  鰹節、炒り子、鶏ガラ等から取っただし汁の量が多いので薄味に成ります。最後の味付けは、ニンベンノつゆの素やカツオのつゆ3倍濃縮液等で調整します。亡くなられた上原さんの言う最後はベロメーターです。私達の体液塩分濃度0.85%程度であれば、誰でも飲める汁が出来ますとお教えいただきましたが、濃いだし汁が出ているので何時も薄味に仕上げます。

20241117日 福島 隆一 

  
    ヒラタケ                    ニクウチワタケ
              
  
    マルミノツエタケ                シロカイメンタケ

     
    オオマンネンタケ                 Phaehelotium_sp
    
   
     エビウラタケ                 カニノツメタケ

    
     カワラタケ                キクラゲ
        
    
     クヌギタケ属               シワタケ

  
   スッポンタケ                   ニセショウロ属 




秋ヶ瀬公園確認種 (45種)

科名 属名 種和名 種学名
担子菌門 イグチ目(3種)
イグチ科 アワタケ属 キッコウアワタケ Xerocomus chrysenteron
ニセショウロ科 ニセショウロ属 ウスキニセショウロ Scleroderma flavidum
ヌメリイグチ科 ヌメリイグチ属 チチアワタケ Suillus granulatus 
担子菌門 ハラタケ目(11種)
モエギタケ科 ニガクリタケ属 ニガクリタケ Hypholoma fasciculare
ヒメノガステル科 チャツムタケ属 ミドリスギタケ Gymnopilus aeruginosus
オキナタケ科 コガサタケ属 キコガサタケ Conocybe lactea
ナヨタケ科 キララタケ属 キララタケ Coprinellus micaceus
シメジ科 シメジ属 ハタケシメジ Lyophyllum decastes
タマバリタケ科 エノキタケ属 エノキタケ Flammulina velutipes
タマバリタケ科 ツエタケ属 マルミノツエタケ Hymenopellis japonica
タマバリタケ科 ビロードツエタケ属 ツエタケ Xerula radicata
スエヒロタケ科 スエヒロタケ属 スエヒロタケ Schizophyllum commune
ウラベニガサ科 ウラベニガサ属 ウラベニガサ Pluteus cervinus
ヒラタケ科 ヒラタケ属 ヒラタケ Pleurotus ostreatus
担子菌門 タマチョレイタケ目(17種)
タマチョレイタケ科 シュタケ属 ヒイロタケ Daedaleopsis confragosa
タマチョレイタケ科 チャミダレアミタケ属 チャミダレアミタケ Daedaleopsis tricolor
タマチョレイタケ科 チャミダレアミタケ属 チャカイガラタケ Daedaleopsis styracina
タマチョレイタケ科 チャミダレアミタケ属 エゴノキタケ Trametes orientalis
タマチョレイタケ科 シロアミタケ属 クジラタケ Trametes versicolo
タマチョレイタケ科 シロアミタケ属 カワラタケ Trametes villosa
タマチョレイタケ科 シロアミタケ属 フルイカワラタケ Ganoderma resinaceum
マンネンタケ科 マンネンタケ属 オオマンネンタケ Ganoderma australe
マンネンタケ科 マンネンタケ属 オオミノコフキタケ Laetiporus versisporus
ツガサルノコシカケ科 アイカワタケ属 ヒラフスベ Piptoporus soloniensis
ツガサルノコシカケ科 カンバタケ属 シロカイメンタケ Gloeoporus dichrous
シワタケ科 エビウラタケ属 エビウラタケ Bjerkandera fumosa
シワタケ科 ヤケイロタケ属 ヒメモグサタケ Phlebia tremellosa
シワタケ科 コガネシワウロコタケ属 シワタケ Steccherinum murashkinsky
シワタケ科 ニクハリタケ属 ニセニクハリタケ Abortiporus biennis
トンビマイタケ科 ニクウチワタケ属 ニクウチワタケ Cerrena zonata
科未確定 ミダレアミタケ属 ミダレアミタケ Cerrena unicolor
担子菌門 スッポンタケ目(4種)
スッポンタケ科 カニノツメ属 カニノツメ Linderia bicolumnata
スッポンタケ科 ツマミタケ属 ツマミタケ Lysurus bicolumnata
スッポンタケ科 スッポンタケ属 スッポンタケ Phallus impudicus
スッポンタケ科 スッポンタケ属 キツネノタイマツ Phallus rugulosus
担子菌門 ヒメツチグリ目(1種)
ヒメツチグリ科 ヒメツチグリ属 エリマキツチグリ Geastrum triplex
担子菌門 キクラゲ目(3種)
キクラゲ科 キクラゲ属 キクラゲ Auricularia auricula-judae
キクラゲ科 キクラゲ属 アラゲキクラゲ Auricularia polytricha
キクラゲ科 キクラゲ属 タマキクラゲ Exidia uvapassa
担子菌門 アンズタケ目(1種)
カレエダタケ科 カレエダタケ属 カレエダタケ Clavulina coralloides
担子菌門 シロキクラゲ目(1種)
ジュズタンシキン科 ジュズタンシキン属 フクロキクラゲ Sirobasidium magnum
子のう菌門 チャワンタケ目(4種)
オオゴムタケ科 オオゴムタケ属 オオゴムタケ Galiella celebica
ビョウタケ科 Hymenoscyphus Hymenoscyphus sp. Hymenoscyphus sp.
ビョウタケ科 Phaeohelotium Phaeohelotium sp. Phaeohelotium sp.
ノボリリュウタケ科 ノボリリュウタケ属 クラガタノボリリュウタケ Helvella ephippium

            


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